社内文書検索DBをオンプレからクラウドに移行する上で気をつけるべきポイント
多くの企業がオンプレミス型のサーバを使って社内検索システムやデータベースの管理・運用を行っていますが、オンプレミス型は利便性が低く、運用時の課題があります。本記事では、オンプレミスからクラウドへの移行を検討している企業の担当者に向けて、クラウド化する際の注意点や具体的な事例について解説します。

検索が遅い・・・オンプレミス型サーバ運用時の課題
オンプレミス型サーバを使って社内文書検索やデータベースを管理・運用している企業は多くなっています。しかし、オンプレミス型サーバにはさまざまな課題があります。以下では、具体的な課題について解説します。
情報量の増加による検索速度低下
オンプレミス型サーバは、サーバスペックの向上が簡単にできないため、情報量が増えると検索速度が低下してしまいます。検索エンジンをバージョンアップすれば検索速度向上を図ることはできますが、リソースの追加や新技術の導入のタイミングでないと実施できません。
また、新技術を導入しようとすると、そのためのハードウェアの確保や構築手順の確立、評価検証といった作業をユーザー自身で行わなければならないため、多くの工数がかかってしまいます。
新たなサービスやサーバとの連携ができない
老朽化しているオンプレミスサーバの場合、新たなサービスやサーバとの連携がうまくできない可能性があります。このようなサーバは、ミドルウェアのバージョンが古く連携ができないケースやオンプレミスのクローズドな環境を考慮してセキュリティ上連携をさせないケースも考えられますが、新サービスやサーバとの連携ができず、利便性の面で不都合が発生してしまいます。
複数のデータベースや検索システムがあり、検索APIも異なると、統合ができずデータサイロ化が発生するおそれもあるため注意しなければなりません。
社内運用や外部委託運用時のリスクが高まる
オンプレミス型サーバの場合、自社でサーバを運用するため、障害やトラブルが発生すると社内で対応しなければなりません。そこで、サーバに関する知識や技術があるスタッフを社内に確保しておく必要があります。しかし、企業によっては技術者が不足もしくは不在となることもあり、早期に復旧できないケースも考えられます。
また、技術者不在の状況を避けるために運用を外部委託することもできますが、対応スピードが遅いケースもあるため、注意しなければなりません。
以上のような理由から、社内文書検索システムをクラウド化する会社が増加傾向にあります。そこで続いては、クラウドへ移行する際に気をつけるべきポイントについて解説します。
オンプレミスからクラウドへのサーバ移行時に気をつけるべき4つのポイント
ここでは、オンプレミス型サーバからクラウドへ移行した後も、社内文書検索システムやデータベースをスムーズに利用できる状態を作るために心得ておくことを紹介します。
1つのサーバに統一してデータを格納できるか
クラウドサーバであっても異なるサーバに格納していると、複数のURLを管理しなければなりません。
よって管理が煩雑になり、横断的な検索も利用できなくなります。また、データの格納はペタバイト規模まで対応していることも重要です。
検索機能を使う際に、その都度検索結果が変わらないか
クラウドへ移行した際、従来のオンプレミス型と検索結果が異なると利用者は混乱してしまいます。また、混乱を招くだけでなく収益にも影響がおよぶ可能性があります。
混乱を招かないためには、検索結果のチューニングに幅を持たせられるか確認することが重要なポイントです。チューニングに幅を持たせられれば、最適な検索結果が出るようになります。
ソフトウェアバージョンアップの時間が短縮できるか
オンプレミスでは、ソフトウェアのバージョンアップは機材更新に合わせて行うことが一般的であり、最新版に追いつかないこともよくあります。
バージョンアップに時間をかけないためにも、クラウドへ移行した際に、システムを停止させずに少しずつ新しいものへとアップデートしていく仕組みが必要です。この仕組みを「ローリングアップデート」と呼び、毎度のバージョンアップにかかる時間を短縮できます。
障害が発生した際、復旧までの時間が短いか
オンプレミスの場合、障害が発生した際には障害ノードを切り離したうえで再起動し、クラスタに復帰させる一連の作業を全て手動で行わなければなりません。一方でクラウドの場合、障害が発生しても自動復旧が可能なものにすれば、復旧までの時間を大幅に短縮できます。
以上の点を留意することで、クラウドへ移行時に社内文書検索システムやデータベースをスムーズに利用できます。続いては、クラウドへの移行に成功した事例を紹介します。
オンプレミスからクラウドへと検索データベースの移行に成功した事例
ここでは、オンプレミスからクラウドへの移行に成功した日本経済新聞社の事例を紹介します。
日本経済新聞社の導入事例
日本経済経新聞社は、国内最大級のビジネスデータベースサービスであり、長い歴史を持つ「日経テレコン」や「日経NEEDS」などを運用しています。
日経テレコンの全文検索では、膨大なコンテンツの中から、横断的に必要な記事や情報を迅速に探し出すことができます。非常に便利な機能である一方、システム運用面では、以前からオンプレミス型で運用しており、相当な負荷がかかっている状況でした。
また、これまでの検索基盤はコンテンツやサービスごとに分かれており、横断的に利用することが困難であることも課題の一つでした。
日本経済新聞社では、検索基盤に関する数々の課題を一掃すべく、2018年にデータベース事業の全コンテンツについて検索エンジンを共通化し、これをクラウド上で運用する構想を打ち出しています。
その際に、新たな検索エンジンを構築するために採用されたのがElasticsearchです。
Elasticsearchを活用することで検索エンジンの性能が向上し、サーバ台数の大幅減を実現しています。また、運用の多くを自動化することでコスト削減も達成するなど大きな成果をあげました。
日本経済新聞社の事例詳細はこちらよりダウンロードしてご覧ください。
クラウドへの移行成功のためにElasticsearchの導入を
Elasticsearchを活用すれば、横断的で大規模な検索・可視化が可能となり、ビジネス拡大における有用なデータ検索を実現します。複数システム間の監視やスピーディーな原因究明も可能であるため、クラウド移行を検討している企業の担当者は、ぜひ導入を検討してみてください。
