通信事業者の最新サイバーセキュリティアプローチ

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5Gの登場で、ネットワークアーキテクチャーは汎用ハードウェアやクラウドインフラ上にコンテナー化されたアーキテクチャーを構築するものに進化しました。これは、従来の孤絶的な通信フレームワークから、IT技術を中心としたものに大きく変化したと言えます。この変化により、複雑さが一段と増し、サイバーセキュリティ上の脅威が多数生まれています。

5Gネットワークは、コンテナー化などのオープンで標準化されたITテクノロジーとクラウドネイティブなアプローチに依存しています。そのようなシステムは既知の脅威やゼロデイ脅威にさらされやすいというのが、サイバー攻撃のリスクが大きくなる理由です。この新しいアーキテクチャーにAIとIoTを統合するとセキュリティの課題がさらに増大するため、通信事業者には強力で高度なセキュリティ対策を取らなければならない重圧がかかります。このような変化に対応するため、相互接続性とIT指向性がますます高まっている通信環境で重要なインフラと機密データを保護できるように、サイバーセキュリティ対策を全面的に見直す必要があります。

Elasticセキュリティ:一元化された最新のソリューション

Elasticセキュリティは、SIEM脅威検知、エンドポイント防御と対応、脆弱性管理、クラウドセキュリティ態勢管理(CSPM)といった一連の強力な機能を備えており、現代の通信ネットワークの複雑なニーズに応える包括的なセキュリティソリューションを提供します。

ElasticセキュリティにはMITRE ATT&CK®フレームワークが組み込まれています。

Elastic Security for SIEMは、組織のセキュリティを強化するよう設計されています。さまざまなソースからのデータを統合して分析し、潜在的なセキュリティ脅威に関するインサイトをリアルタイムで提供します。このシステムには、高度な分析ツールとビジュアライゼーションツールが用意されており、セキュリティチームが状況を詳しく把握して、異常の検知と調査をできるようになります。Elastic®のSIEMはスケーラビリティとカスタマイズ性が高いため、さまざまな組織の個別のニーズに対応できます。さらに、使いやすいインターフェースと自動アラートシステムが効率的な脅威検知と応答に役立ちます。

さまざまなオペレーティングシステムのエンドポイント保護:Elasticセキュリティのエンドポイント保護は、Linux、macOS、Windowsといった異なる種類のオペレーティングシステムを幅広くカバーします。この機能は通信事業者にとって非常に重要です。特に、最新のネットワークアーキテクチャーでは、Linuxベースのシステムの採用が増えているからです。また、セッションビューアーとイベントアナライザーを通じてエンドポイントデバイスの詳しいインサイトを入手できます。

脆弱性管理:Elasticの脆弱性管理は、組織のシステムとソフトウェアが抱える脆弱性を能動的に特定して軽減する作業を容易にします。通信ネットワークでは新しいテクノロジーやアーキテクチャーの導入には新しい脆弱性がつきものなので、このようなシステム的な対処が重要です。

クラウドセキュリティ態勢管理(CSPM):ElasticのCSPM機能は、セキュリティのベストプラクティスに照らしてクラウドサービスとリソースを評価するのに役立ちます。クラウドテクノロジーを活用している通信事業者では、ストレージリソースやコンピューティングリソースなどのクラウドベースアセットの評価と安全確保にCSPMが不可欠です。クラウドベースの通信インフラのセキュリティ整合性を維持するうえで、ストレージバケットが外部に公開されていたり、ネットワークオブジェクトのアクセス許可が寛容すぎたりといったリスクは見逃せません。そのようなリスクの特定、修復にCSPMが有益です

通信事業者は、進化を続けるネットワークをさまざまなサイバーセキュリティ脅威から守らなければなりません。Elasticセキュリティは、クラウドネイティブな機能も含む包括的な機能性を備えており、そのための有効な手段となります。

セキュリティへの生成AIとElastic AI Assistantの活用

Elasticセキュリティの機能の1つであるElastic AI Assistantは、生成AIの活用によりサイバーセキュリティ業務を大きく強化するものです。自然言語でインタラクティブにやり取りできるチャットインターフェースを通じて、アラート調査、インシデントレスポンス、クエリの生成や変換など、さまざまなタスクを行うことができます。このツールの目的はワークフローを合理化することにあり、経営チーム、運用チーム、セキュリティチームの個別のニーズに合わせてカスタマイズされた対応が可能です。

Elastic AI Assistantの主な機能と利点は次のとおりです。

スマートな対話を通じた高度な分析:AI Assistantでは、インテリジェントな対話を通じて分析プロセスが強化されます。ユーザーのニーズとフィードバックを受けて、時間とともに機能が改善されていきます。AI Assistantから正確性が高くカスタマイズされた応答を引き出すために重要なポイントは、コンテキストを詳細に伝えることです。

サードパーティAIプロバイダーとの統合:生成AIコネクターを使用してOpenAI、Azure、AWS BedrockなどのサードパーティAIプロバイダーと接続し、検索拡張生成(RAG)と組み合わせることで、AI Assistantの機能の範囲とナレッジベースを広げることができます(接続できるプロバイダーは今後も増える予定です)。この機能により、正確で、自社への関連性が高く、自社の具体的なデータを使った出力を生成できます。

カスタマイズとコンテキスト適用:AI Assistantの応答は、会話の最初にシステムプロンプトを選択し、特定のタスク(アラートの要約やクエリの変換)に対応したクイックプロンプトを使用することでカスタマイズできます。このカスタマイズにより、AI Assistantの応答がコンテキストに即し、ユーザーの具体的な要件に合致したものになります。

クエリ変換とナレッジベース:AI AssistantがクエリをElasticsearch Query Language(ES|QL)などの特定のクエリ言語に変換できるため、ユーザーは深い技術的専門知識がなくても簡単にElasticセキュリティを使用できます。ナレッジベース機能で専門知識を提供すると、複雑なクエリとセキュリティタスクを支援するAI Assistantの能力が高まります

AIを活用した高度な機能で、効率化、問題解決力の向上、カスタマイズされたセキュリティ運用サポートができるElastic AI Assistantは、サイバーセキュリティチームにとって価値あるツールです。IDCは最近公開したレポートで、AI Assistantがセキュリティチームに与える影響とチャンスを検証しています。

セキュリティユースケースに有益なElasticのマルチティアアーキテクチャー

Elasticが採用しているHot-Warm-Cold-Frozenアーキテクチャーは、データのライフサイクル全体を通じてコストとパフォーマンスを最適化することを目的とした高度なデータ管理方法です。この多層アプローチでは、以下のようにデータを古さとアクセス頻度に基づいて複数のティアに分類し、効率的なリソース割り当てを行います。

  • Hotティア:最も新しくアクセス頻度も高いデータを処理するために、高速なハードウェアを使います。リアルタイムのセキュリティ監視など、最新のデータに即時アクセスできることが重要な、一刻を争う業務に欠かせません。

  • Warmティア:ここにはアクセス頻度がHotティアより低いデータが分類されます。数週間から数か月前に作成されたデータで、まだ継続中の分析の対象である情報などが該当します。コストとアクセス速度のバランスを取って、Hotティアよりは性能の低いハードウェアを使用します。

  • Coldティア:更新とアクセスがまれなデータが保存されます。ここではコスト節約を重視するため、低価格のハードウェアを使用します。また、ストレージ容量を最小限に抑えるためにさまざまなデータ圧縮手法を活用します。

  • Frozenティア:ほとんどアクセスされることのないデータをホストし、ライフサイクルの終わりを意味します。クエリされることはまずないものの、コンプライアンスや長期的な分析のために保持が必要な過去のレコードに適しています。

ColdおよびFrozenストレージティアでは、検索可能スナップショットを使用して、使用頻度の低いデータにコスト効率良くアクセスできるようになっています。その結果、レプリカシャードが必要なくなり、ストレージ要件が軽減され、ストレージ効率が高まります。このスナップショットはElasticsearch®のインデックスライフサイクル管理を通じて管理されており、ColdフェーズまたはFrozenフェーズでの定期的なインデックスから検索可能なインデックスへの変換を自動化し、データライフサイクル管理を簡単にします。これらのティアでは、データ取得が最適化され、速いクエリ速度が確保されており、コストとパフォーマンスのバランスが取れています。大規模にデータを管理している場合は特に、このアーキテクチャーでストレージコストと運用コストを大幅にカットすることができ、大きなメリットがあります。

マルチティアアーキテクチャーは、セキュリティユースケースですこぶる有益です。脅威検知に重要な最近のデータは効率的に保存し、すばやく取得できます。一方、セキュリティ上の重要性が低くなって即座に取得できる必要のなくなった古いデータは、長期的分析に役立てるために低コストで保存できます。

サーバーレスアーキテクチャー

Elasticが最近採用したサーバーレスアーキテクチャーは、コスト効率を大きく向上させる、注目の進歩です。この戦略的な変化により、業務の効率化とコストの最適化を同時に実現するイノベーションへの取り組みが明確になりました。サーバーレスソリューションを採用することで、Elasticは最近の技術トレンドに沿って、今まで以上の効率と価値を提供できるようになりました。この変化はインフラ管理を簡素化するだけでなく、クラウドコンピューティングの先見性のあるアプローチを取り込むものです。突き詰めていくと、Elasticのサーバーレスフレームワークへの移行は、より経済的でアジャイルなデータ管理に向けた大きな一歩と言えます。

以下に、サーバーレスアーキテクチャーの重要なコンセプトをいくつか挙げます。

コンピューティングとストレージの分離:サーバーレスアーキテクチャーでは、コンピューティングとストレージを分離することでリソース活用の柔軟性と効率が高まっています。この分離によって、データストレージソリューションのスケーラビリティとコスト効率が向上します。

運用の複雑さの軽減:サーバーレスにすることで、クラスターやデータティアを能動的に管理する必要が減り、運用の仕事が簡素化されます。それにより、時間と運用コストの両方を大きく節約できます。

オブジェクトストアを通じたストレージの最適化:サーバーレスアーキテクチャーで安価なオブジェクトストレージを使用することで、ストレージコストが減少します。オブジェクトストレージのスケーラビリティを活用しながら、高速なクエリパフォーマンスを維持しつつ、コストとパフォーマンスの効率的なバランスを取ることができます。

データ管理の合理化:サーバーレスアーキテクチャーでは、インデックスティアと検索ティアが別々に統合されています。そのため、ハードウェアをワークロードごとに個別にスケーリング、最適化できます。結果として、データ処理の効率が上がり、コストが減ります。大量のログを記録するアプリケーションやセキュリティアプリケーションで特に有益です。

Elasticのサーバーレスアーキテクチャーは、データ管理の面での大きな進化です。コスト効率、スケーラビリティ、運用の簡素化というメリットが際立っており、それらすべてがコスト効率の高いデータ管理ソリューションの実現につながっています。

通信の速度で進化するサイバーセキュリティ

5G時代の通信事業者は複雑なサイバーセキュリティの課題に直面していますが、Elasticセキュリティで強力な保護体制を作ることができます。このスイートは、SIEM、エンドポイント保護、脆弱性管理、CSPMを備えており、最先端の脅威に対処できるように設計されています。さらに、Elastic AI Assistantの追加で運用効率を高められるようになりました。また、通信事業者にはセキュリティとコスト効率の両方が重要ですが、マルチティアのサーバーレスデータアーキテクチャーの採用でコスト効率の良いデータ管理が可能となっています。これらのソリューションを導入すると、進化を続けるネットワークを守る高度なサイバーセキュリティをコスト効率良く実現し、大きなメリットを得ることができます。

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本記事に記述されているあらゆる機能ないし性能のリリースおよびタイミングは、Elasticの単独裁量に委ねられます。現時点で提供されていないあらゆる機能ないし性能は、すみやかに提供されない可能性、または一切の提供が行われない可能性があります。

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